今月は、「虚子忌」と「栄螺」の兼題を含めて、7句を出句、7句を互選しました。本井英先生(S50 文博)からは、39句の選を頂き1句づつ講評をうかがいました。講評の中で「歳を取ると経験がゆたかになり句が上手になるが、一方では ”どうだ上手だろう” という気持ちを見せないのが技巧である」というお話がありました。
出句者15名、出席者14名 でした。
★ 本井先生の出句
椿寿忌を小諸の雪に目覚めけり
松本の孫が来るとて壷焼を
壷焼の蓋の圧(へ)しむに手こずれる
棹を継ぎ足して深場の大栄螺
栄螺採ひねもす舟に匍匐ひて
虚子の忌の慕ふ心のいやつのる
棹先の撓みながらも栄螺採り
★ 部員の代表作 (50音順)
捨てられもせず庭隅に殻栄螺 安部和範
庭ランチ源平桃の日よけ傘 宇野京子
指折りて句歴数へて虚子忌かな 小澤喜久子
朱の色を重ね塗りせし木瓜の花 大崎洋一
川沿ひにゆっさゆっさと花の散る 河相光子
真青なる天に届けてこぶし咲く 上坂秀治
銀座鳩居堂前にぞ甘茶佛 佐藤月子
香りたつ栄螺や島のイタリアン 津田祥子
ぶらんこを頬つぺ真赤に漕ぐ子なり 萩原ふみを
かまくらに花咲けば来る虚子忌かな 馬場英人
蜑の里バケツでサザエ頒ちをり 深谷むじゅん
曲がりては続く木道風光る 宮田公子
虚子の忌や残る椿の真赤なる 山下ひろ子
椋鳥や川底見えて花の散る 吉水淑浩
春の日や車窓に遠く光る海 脇坂恵三