今月は「顔見世」という兼題を含めて、各自 7句を出句し 7句を互選しました。
本井英先生(S50 文博)からは 27句の選があり、選句それぞれにつき講評が
ありました。「顔見世は歌舞伎の行事であるが、俳句も歌舞伎も江戸時代に庶民
が育てた文化です。顔見世の句を創るのは、庶民文化の歩みを知るのによい勉強
になります」というお話がありました。 部員の出席、出句とも12名でした。
句会のあと、恒例の忘年会を開き会食をしながら、楽しく歓談しました。
★ 本井先生の出句
顔見世に紅葉散らぬもこのところ
まねき上げさてどんじりに仁左衛門
顔見世で見かけし人や錦でも
顔見世のはねてホテルへ戻るのも
顔見世の新鴈治郎また小柄
中村の「村」読みにくきまねきかな
★ 部員の代表作(50 音順)
薄切りの歯ざはりの良き聖護院 大崎洋一
顔見世や庵看板竹矢来 河相光子
枝に着く枯葉のごとき八十路かな 上坂秀治
アロエ咲く祖父の自慢の大火鉢 佐藤月子
路地奥の冷えに灯して祇園茶屋 津田祥子
母干せし布団の温み子供部屋 萩原ふみを
冬に入りたまにはいいか昼の酒 馬場英人
銃声の鎮まる彼方山眠る 深谷むじゅん
土牢に一筋冬の日差しかな 宮田公子
義父(ちち)の植えし柚子の実のまた鈴生りに 望月明子
まねき上げ四條いよいよ師走なり 山下ひろ子